忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

資本の機会費用は非常に重要な概念であるので、もう1つの例を挙げよう。次のような機会を考えてみよう。今日、10万ドルを投資し、年末の経済状況いかんによって、次の等しい確率のペイオフのうちの1つを受け取るというものである。

不況:8万ドル
例年通り:11万ドル
好況:14万ドル

となる。これは、10万ドルの投資に対して10%の期待収益率であることを表している。しかし、正しい割引率はなんだろうか。

この投資と同じリスクを持つ株式を探したところ、株式Xが完全に一致することが分かった。例年通りの経済状況の下でのXの来年の価格は、110ドルと予測されている。株価は、不況時には低くなり、好況時には高くなる。その度合いはあなたの投資と同じである(不
不況時に80ドルとなり、好況時に140ドルとなる)。あなたは、株式Xとあなたの投資のリスクは同じであると結論付けた。

株式Xの現在の価格は95.65ドルであり、期待収益率は15%である。

期待収益率=期待利益/投資額=110-95.65/95.65=0.15、あるいは、15%

これが、株式市場ではなくプロジェクトに投資することによって断念している期待収益率である。すなわち、これがプロジェクトにかかる資本の機会費用である。

プロジェクトを評価するためには、資本の機会費用によって期待キャッシュフローを割り引けばよい。

現在価値(PV)=110,000/1.15=9万5,650ドル

これが、11万ドルの期待キャッシュフローを購入するために、投資家が株式市場で払う金額である。(株式Xを1,000株買うことによってそうすることができよう。)したがって、これは、投資家がプロジェクトに対して支払う用意のある金額でもある。純現在価値を計算するためには、当初の投資額を差し引く必要がある。

純現在価値(NPV)=95,650-100,000=-4,350ドル

このプロジェクトは、かかる費用より4,350ドル価値が低い。実行する価値がないということである株式市場に投資する場合と比べると、富を創造するのではなく、富を台無しにし、あなたを貧しくしてしまう。

プロジェクトの期待収益率を資本コストと比較しても、同じ結論が得られることに留意しよう。

プロジェクトの期待収益率=期待利益/投資額=110,000-100,000/100,000=0.10、あるいは、10%

プロジェクトの10%という期待収益率は、投資家が株式Xへ投資することによって得ることを期待できる15%の収益率より低い。したがって、このプロジェクトには価値がない。

もちろん、現実には将来の経済状況をただ「不況」「例年通り」および「好況」に限定することは不可能である。また、我々は、株式X1,000株のペイオフと投資プロジェクトのペイオフが完全に一致することを仮定することによって単純かも行っている。しかしながら、この例の重要なポイントは、現実に妥当するものである。投資プロジェクトにかかる資本の機会費用は、そのプロジェクトと同じリスクを有する普通株式またはその他の証券に対して投資家が要求する期待収益率である、ということを覚えておこう。プロジェクトの期待キャッシュフローを資本の機会費用で割り引くと、結果として得られる現在価値は、投資家がそのプロジェクトに対して払おうとする金額となる。正のNPVのプロジェクト(必要とされる現金支出を超えた現在価値を有するプロジェクト)を見出し、着手すれば、常に富を創造し、より裕福になる。
PR
この記事にコメントする
Name:
Title:
Mail:
URL:
Color:
Comment:
pass: emoji:Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
TrackBackURL:
アーカイブ
コーポレートファイナンス関連リンク
ブログ内検索
忍者ブログ [PR]
Copyright(C) 現在価値、企業の目的とコーポレート・ガバナンス All Rights Reserved